立秋を過ぎ、あとは残暑と呼ぶも、まだまだエアコンなくしては、乗り切れそうにありません。
しかし、昔はエアコンなど使わず(エアコンなど無くて)夏を過ごしていました。
私が幼いころ暮らした家は、商家づくりの奥に長い家でした。
表通りに面して南向きに店があり、その奥が住居、その奥に中庭、そして中庭を囲むように台所や風呂が配置されていました。
燦々と降りそそぐ日光で、表のものすべてに、紗がかかったような夏の日。
入口の戸も窓も開け放ち、奥の部屋には、ゆっくりと涼やかな風が流れていました。
屋根や庭木で日陰になっている中庭の温度と、直射日光が当たる表側とに温度差ができ、風が起きていたことは、大人になってから知りました。
かすかな風にゆらぐ麻でできた夏用のれんは、目に涼やか。
ときどき鳴る軒先の風鈴の音は、耳に涼やか。
所用で訪れた中庭のあるお宅で、涼しく暮らす工夫と智恵を駆使した、昔の暮らしを思い出しました。
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